一 都ぞ弥生の雲紫に
花の香漂う 宴の筵
尽きせぬおごりに濃き紅や
その春暮れては移ろう色の
夢こそ一時 青き繁みに
燃えなん我が胸想いをのせて
星影冴やかに光れる北を
人の世の清き国ぞとあこがれぬ
二 豊かに稔れる石狩の野に
雁がねはるばる沈みてゆけば
羊群声なく牧舎に帰り
手稲の頂 黄昏こめぬ
雄々しく聳ゆるエルムの梢
打ち振る野分けにはえの葉音の
さざめく甍に久遠の光
厳かに北極星を仰ぐかな